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――「輝きたい!」と言えるために 『ラブライブ!サンシャイン!!』第八話感想

 今回はなんと豪華二本立て!! 八話と九話のレビューを連続アップしちゃうぞ!!!!(ええ、前回のサボりのツケですよ……)
 それでは小ネタ抜きでいきます。

 

 

 

 

◆お前ら何がやりたいの?

 「Saint Snow」を始めとした周りのスクールアイドルたちのレベルの高さに面を食らっていたところに、イベントの順位結果を知ってしまった「Aqours」。それに追い打ちをかけるかのような、鹿角姉妹からの叱責はキッツイなー。

  観客やファン、評論家、一般層など様々な位相の人がいるが、やっぱり同じことやってる人からの高評価が一番嬉しいもんで、互いにプレーヤーだからこそ見え る世界があるんだよねえ。というわけで、同じスクールアイドルから「お前ら舐めてんじゃないよ!」って言われるのは、得票結果よりも堪えると思った次第。 さらに言われた内容もさあ、「スクールアイドルとしての要求には堪えうるが、ラブライブを目指すようなトップレベルではない」と切って捨てられたわけ で……

 ここで、「Saint Snow」の『Self Control』について少し踏み込みたい。というのも、あの曲はあの姉妹のスタンスを明確に表すものであるからだ。
  率直に言って、『Self Control』は、彼女たちの野心を表現した曲である。改めて聞き直したけど、歌詞がすっごいな。アイツら本気なんだよ。本気でラブライブで勝ちたいっ て思ってやがる。<最高と言われたいよ><特別なもの目指そうじゃないか>といった詞に代表されるように、『Self Control』は、鹿角姉妹の抱くスクールアイドルにかける情熱がストレートに詰まっているのだ。

 彼女らは 「Aqours」と同じく人気急上昇の枠と推察しているが、同じタイミングでランキングを上げてきた存在だからこそ千歌たちを注目していたのだろう。本気 でラブライブを目指している対等なライバルと見做してハッパをかけてみたはいいものの、そうではなかった。9位と30位という実力差。(実際、八話までの 「Aqours」楽曲のダンスは、ナンバリングシングルのものと比較すればかなり簡素となっている。これは意図的な演出だろう)姉妹からすれば、「遊びで やっているんじゃないんだよ!」と言ったところなのだろう。

 ネット界隈では批判的な意見が目立つ「Saint Snow」だが、俺は面白い存在だと思うの。彼女たちもまた「輝きたい!」って願って努力しているスクールアイドルに過ぎず、それにただ真面目すぎるだけ なのだ。「輝きたい!」ってのはつまるところ、どこかの誰かに「アイツすげーや!」って認めてもらって成立する。今回のイベントでは、相対評価による採点 ながらも「Aqours」の得票数は0であり、誰からも「すごい!」と認めてもらえなかったのだ。何一つとして輝いていなかったわけだ。こうした結果を受 けて、「Saint Snow」からの一言は、槍でどってぱらを貫かれるような痛みだっただろう。この後千歌たちは、辞めるのか、もっともっと本気で輝こうとするのか――何が やりたいのか?を再び選択することになる。

 

 

 

◆素直に向き合う

  高海千歌って思っている以上に大人な子だよね。メンバー内で一、二を争うほど結果にショックを受けたはずなのに、やせ我慢をしてメンバーへの気遣いを優先 させる。これはとてもじゃないけど、普通はできない。だってさ、始めてガチでやりたいことで完膚なきまでに叩きつけられたわけよ? 波乱は多々あったもの の、約4600台から99位へと急激なステップアップでのし上がってきた。東京に呼ばれるほどの実力をつけたはずなのに、全く太刀打ちできずに終わり、仕 舞には同業者から「その程度の力でラブライブを目指しているなら無理だ」と切って捨てられるわけで……悔しいに決まっているし、悲しいに決まっている。そ んなの発起人が一番感じているはずさ。

 反骨心に富んだ人間ならば、「だが、ここから這いやがってやるぞ!」と 声をかけられるだろう。しかし、今まで物事に本気で取り組むことがなかった人間に、こうしたリバウンド力があるものだろうか? 彼女にとって、ここまで 鼻っ柱を折られたのは未体験のゾーンである。そうした異常事態の中でもチームへの気遣いだけは忘れずにいたことは、彼女の強さだ。ただ、あの気遣いが自分 の方にも向いた発言だったりするのも、また人間味を感じるよ。

 帰りの道中ずっと仮面をつけ、“大人”を演じて いた千歌に対して、本心を問いただそうとした曜との掛け合いも味わいがあるねえ。「諦めない!」と言ってほしい曜と、実際は本心を漏らせないほどに追い込 まれていた千歌。優秀なアスリートである曜は、「Aqours」で一番にリバウンド力を持つ人間である。ずっと“期待”を受けてきた彼女は、実のところは 千歌と相性が悪いのかもしれない。
 才能豊かなれども、スランプを抱えた過去のある梨子は、曜に近いけれども、千歌と曜の間にいる立場なのかもし れない。ここまでずっと千歌の本心や気づきは、梨子との対話で明かされているのもそうした立ち位置ゆえなのかねぇ。こうした描写を見るに、梨子と曜は千歌 を起点とした対照関係が生じているように思う。

 得られた結果と責任はチーム全員が負うべきで、たった一人が背 負わなくたっていい。そしてなによりも「Aqours」は、みんなが手を繋いでいって出来たチームである。変に自分を飾らず、5人に素直に気持ちをぶつけ ればそれでよかったのだ。仲間はいつだって自分の気持ちをしっかり受け止めてくれるのだから。